ロボットの心(1) トリアージ

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ロボットと言えばアシモフロボット三原則が有名だ。

第一条 人間に危害を加えてはならないし危険を見過ごして危害を及ぼしてはならない。

第二条 命令が第一条に反しない限り命令に服従しなければならない。

第三条 第一条および第二条に反しない限り自分を守らなければならない。

一人の少女が水中に沈んだ車に、そして男は今にも水没しそうだ。
第一条に従ってロボットは生存率の高い男の方を救出する。

映画「アイ・ロボット」の一場面だ。
その事がきっかけで男はロボットは所詮は機械だと思うようになる。

実際この3原則には課題も多い、そのためこれを題材にした小説はこれまで多く書かれている。
私が泥棒だった場合、人に危害を加えない限り彼らは私を手伝ってくれる相棒となる。
そして警察の手から逃れる事が可能だ。

さらに冒頭の映画のようにあなたとあなたの愛する人が同時に危険にさらされた時どちらを救うのだろうか?どこかで優先順位を決定するはずだ。

命の優先順位という問題だ。
これはロボットだけに言える事ではないし、いつか直面するかもしれない問題だ。
これをトリアージ(Triage)という。

日本では阪神・淡路大震災の教訓から総務省消防庁によってトリアージが策定されている。
患者にはトリアージ・タッグと呼ばれるカードが掛けられる。

黒 => 救命処置しない。
赤 => 一刻も早い処置が必要で救命の可能性がある。
黄 => 生命に関しては重篤ではないが早期処置が必要。
緑 => 救急搬送の必要なし。

これまでトリアージが実施された事例としてJR福知山線脱線事故秋葉原で無差別殺傷事件がある。先程の例「あなたとあなたの愛する人が同時に」ならきっとあなたは自分ではなく愛する人や我が子を救って欲しいと願うだろう。

先程の映画の1シーンはそういう意味ではトリアージが実施されたわけだが難しい問題だ。

難問はトリアージだけではない「ロッコ問題」というものがある。

ロッコが線路に沿って走っている最中、制御が利かなくなった。このままでは線路の上に立っている5人がトロッコに轢き殺されてしまう。そこでトロッコを別路線に引き込んで5人を助けたいが、この場合別路線に立っている別の1人がトロッコに轢き殺されてしまう。トロッコを別路線に引き込むべきであろうか?

ある人を助けるために他の人を犠牲にするのはよいことか?

あなたはどう考えますか?