Note284 光速度不変原理とローレンツ不変性の破れ

ローレンツ不変性が「実は破れている」のでは?
というのはGreisen-Zatsepin-Kuzmin効果などからにわかに囁かれた話だが、以前にも書いたように実験的にかなり高い精度でLorentz不変性は保たれている事は確認されている。
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ところが近年、光速度不変原理から陥落するかもしれないという話があった。
そもそもの発端は物理学が目指している重力の量子論の構築における一つの予言にある。
それは「ループ量子重力理論」というものらしいのだが量子重力が無視できないミクロなスケールでは光の速度はエネルギーに僅かだが依存するという。よって極わずかに光速度に差が出ると予想されているらしい。もし、重力の量子論としてループ量子重力理論が的を得ているならそれは即ち光速度不変原理の陥落を意味する。

ところが(2009/5/10)、ガンマ線バーストと呼ばれる現象の観測を通して光速度不変原理の破れが検査されたようだ。それによれば高エネルギーガンマ線と低エネルギーガンマ線の到達時間に有意な差が認められなかったという事だった。

ガンマ線バースト発生GRB 090510 (73億光年の彼方(南米チリにあるVLT 望遠鏡の観測))からの高エネルギーガンマ線(310億eV)と低エネルギーガンマ線(500万eV)の到達時間の差は(max)0.83秒これは光の速度に換算すると
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という極めて小さな誤差でしかなかったという事らしい。
宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部ISAS/JAXA

観測から得られた結論は「やはり光速度は不変だった」という事だ。