第3話 シュレーディンガー方程式の発見


ドゥ・ブロイは光と同様に電子(一般の物質)にも波と粒子の二重性がある事を唱え、それは後の実験で検証されたのであるが、このドゥ・ブロイの発見は速やかに物理学を研究する人たちに伝わったとは言えない。実際このころ(1920年ごろ)の物理学者はどちらかと言えばこじんまりとしたグループで活動していたようす。

スイスのチューリッヒでも同じような人たちがいました。エルビン・シュレーディンガーもその中にいた。この人、大勢と戯れるのは好まなかった(どちらかと言えば一匹狼だった)ようです。

そのような小さな物理同好会のような集まりは、持ち回りで何かを発表しては議論するという場所だった。ある時シュレーディンガーは周囲ではまだ良く知られていなかったドゥ・ブロイの発見について発表することになった。話はうまくまとまったものだったが大きな欠陥が指摘された。

君は物質も固まり(粒子)の性質もあるが波の性質もあるというけど、粒には運動方程式がある。
では、その波の方程式はあるのか?

といった指摘だった。
シュレーディンガーもその波の方程式までは知らなかったからこの質問は宿題となった。

数週間後再び物理同好会でシュレーディンガーは発表を行った。
開口一番「ドゥ・ブロイの波の方程式を私は見つけました。

これは「量子力学」といった分野が飛躍していくために必要な歴史的大発見だった。

いったん方程式が示されるとそれから色々な結果を得ることが出来る。実際シュレーディンガーは凄まじい勢いで論文を次々と発表していった。(1年で計4篇である)

シュレーディンガーが見つけた方程式は今日シュレーディンガー方程式と呼ばれる。

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ひどく簡単だがこれは現代風の書き方でHはハミルトニアンとよばれる複雑な式である。しかしシュレーディンガー方程式の言いたい事はすべてこの単純な表記で表現されている。

私のこの「量子を勉強」というブログのコーナーでもこれだけ十分である。
具体的なHをシュレーディンガーがどのように考えたのか知りたい方は専門書を見ていただきたい。

さて、方程式を見ても「なんだ?それ」と思うだろうね。方程式が示しているのはΨが波の関数、Eがエネルギーを表す。なので一般にはこの方程式から波の関数ΨとエネルギーEを求める問題となる。

E = H じゃん」とはならないです。

実は左辺のHΨは「HかけるΨ」ではない。物理学では「HがΨに作用する」という特殊な状況を表しています。
一方右辺のEΨは「EかけるΨ」です。なのでシュレーディンガー方程式は

求めようとするΨが解ならΨにHを作用させるとEかけるΨのような形になる
そうなるΨを見つけよ
という事を示しています。その時のEがこの波のエネルギーの値になるのです。

今、この「作用」という不思議な関係はなんだか「もやっ」としていて訳が分からんという中高生もいるでしょうがそれで良いです。次第に違和感が無くなっていくように書いていきたいと思います。