第23話 爆弾判定・無相互作用測定(後編)
ここで重要なのは正常な爆弾の場合、起爆ミラーは一つの「検知器」の役割を果たしているという点です。つまり爆発したらそれは光子が|B>を走ってきたという過去を決定する。ハーフミラー④に来た光子は|F> または |G> への重ね合わせになっているはずである。このとき検知器'A'、または検知器'B'で検出される可能性がある。起爆ミラーではなく完全なミラーの場合は検知器'A'でしか検出されなかったのだが、
もしも爆発しなかったとしたら
の場合のはずである。
この場合はハーフミラー④で
となって検知器Bで検知される場合がある。この場合は正常な爆弾とわかる。
問題は検知器'B'が反応するケースである。
もしも爆発しなかったとしたら
の場合のはずである。
この場合はハーフミラー④で
となって検知器Bで検知される場合がある。この場合は正常な爆弾とわかる。
検知器'B'で検知されるのはそれが正常な爆弾だった場合に限られる。つまり、25%(1/4)の確率で正常な爆弾を残せる事になる。重要なのは爆弾に一切触れることなく正常品と判定(25%ではあるが)できた点である。そのためこのような測定は無相互作用測定(interaction-free measurement)と呼ぶ。そしてこのような事が実際可能な事は実験で確認されている。さらに巧妙な仕掛けを工夫して25%という確率をさらに上げる事が可能らしい。この点についてはまた別の機会に書いてみようと思います。
(現在どうしても論文の式が???というか1箇所と計算結果が合わないので)