自分らしさ

なんだろう。
考えてみたら分からなくなっていた。

いつからなんだろう。

いつからわからなくなったんだろう。

本当の自分はなんなんだろう。

いつからか自分を封印していたような気がする。

自分らしく生きているようでそれを押し殺して生きてきたような気がする。

辛いことも沢山あった。
築いたものを全て失った。
自分に非があるなら諦めも付くというものだ。

いったいなんのために生きて来たんだろう。

でも、今は違う。気がする。

守るべき事がある。
それを守ることが私が幸せであり人生のような気がする。

大げさじゃないけどそのために死んでも良いとさえ思える。
怖くない。なぜか死んでも守ることが出来たら怖くない。

なんかよくわからないけど、死への恐怖感が怖いほど無い。
今なら蓄えもあるし保険だってある。
きっと路頭に迷わないだろう。
でも、死にたいわけじゃないんだ。

そうは言っても怒ることもあるだろうし泣く事だってあるだろう。
もちろん笑うことだってある。
けっして仙人のように一本芯が通っているわけでは無いのもまた本当だ。

あ、そうだ。
一つある。
今まで人を欺く隠し事をした事が無いという事が。

友人が言った言葉を思い出した。
「なんかそういう事って人には言わないよね」
「だって、どんな風に思われるか怖いもんね」
「でもcat_falconが堂々とそういう事を言うと、なんか意外と変には思えない」
「そうか、そういう事って言っても平気なんだ」

不思議と私が口火を切ることが多い。
みんな本当の事を言い出す。俺も、私もと。

以前、先輩に向かって冗談で「俺、実はカツラなんだよ」って言ったら
先輩も「え、お前も?」って。

悪いことをしたと思っている。
あ、やっぱり悪いこともしてるなぁ。

ちょと悪ふざけが過ぎて癖になってしまった事があった。
居酒屋で「実は新しいカツラにしたんだよ」とそれとなく友人と話すと不思議な事が起きる。
少し離れた他のお客さんがチラチラとこっちを見たり。
こそこそ話が聞こえてくる「ねー、あの人カツラらしいよ」「えーうっそー」とか。
一見、見知らぬ他人のようでこっそり聞いてたりするから笑える。

特に、「あ、芸能人!」とか言うと何人かは見て見ぬ振りをしつつも探してたりする。
笑ってしまう。

やっぱり悪ふざけだよね。

いったい自分らしさってなんだろう。

やっぱり分からない。