Note21 主ファイバー束の構成

前回の図を元にちょっとした計算をしてみます。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025822.jpg
よって、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025855.jpg
は、任意b点のファイバー上で一定値の微分可能な写像と分かる。これを座標変換関数と呼びます。

それで、なんでこんなのを定義したかというと多様体MとLie群Gに対して座標近傍{Uα}を与えたとき上記のような座標変換関数族{Ψαβ}を定義できると{Ψαβ}を座標変換関数としてもつような主ファイバー束ができるからです。具体的には座標近傍{Uα}と構造群の直積から
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025859.jpg
という張り合わせをつくる。(詳細は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p29)

なんだ、そう考えるとファイバー束は多様体M上のファイバーを集めて構造群で張り合わせただけじゃないか?。
つまり、各点での(ファイバー間の)座標変換が構造群Gによって決まっているという事だと分かった。

実はWikiペディアにもファイバー束の説明があるのだが量子相関(量子テレポーテーション)で完全にガセネタだったしその他も嘘っぱちが在ったのでちゃんとした教科書本あるいは論文を見て独学するスタイルにした経緯があるのだけどこの件はどうやら正しいようだ。これに関する箇所を引用してみよう。

ファイバーはただ束ねられるだけではなく、構造群と呼ばれる位相変換群に従って張り合わされる。底空間の開被覆 {U}a∈A があり、その 2つの元の共通部分 Ua ∩ Ub が空でないとき、その共通部分に立っているファイバーはどのように張り合わされるべきか?という事、すなわち、直積 Ua × F と Ub × F の重なり方を記述するのが構造群である。
なので私の抱いたイメージはどうやら間違っていないようだ。

ここでUαに関する写像である事を明確にして
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025904.jpg
と書くことにします。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025907.jpg
とする。この時、射影が
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025912.jpg
この時、適当なGの要素gで
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なので、
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ここで
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025926.jpg
と書けて座標変換関数を使えば
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025826.jpg
ところで、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025832.jpg
だったから座標変換関数はファイバー上で一定値の微分可能な写像だった。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025835.jpg
は底空間の座標だけに依存しているから
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025840.jpg
として良い。で以下の関係があることが分かる。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025843.jpg
これから、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190806/20190806025848.jpg

今日は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p28でした。