Note22 同伴ファイバー束(1)

多様体FでLie変換群Gが左作用しているとき、
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この時、Fを(標準)ファイバーと呼ぶ。どうもファイバー(繊維)のイメージが無いがこれは絵の描き方次第ですね。
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ファイバー(繊維)といっても一人前の宇宙というか空間(多様体)なのであまり繊維というイメージを強く持つのは良くないかも知れない。さて、主ファイバー束P(M,G)に同伴したファイバー束は次のように定義されます。主ファイバー束と多様体Fの直積で、
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として、同じと見なす(同値≡)という意味で、(本来は「~」を使うけど)
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であるという事を
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とする。多様体Fと主ファイバー束にこの同値関係を与えて、この同値関係による商集合
F/Gとの直積によって、
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これを主ファイバー束P(M,G)に同伴したファイバー束と呼ぶ。

同伴ファイバー束Eで特にFの微分同相写像ρがあって左作用を
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とするとき、この同伴ファイバー束を
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と書きます。

例えば、ファイバーFをベクトル空間で構造群Gはベクトル空間に線形に作用する微分同相写像ρを次のように定義すると
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主ファイバー束P(M,G)の同伴ファイバーはベクトル束と呼ばれます。

■メモ
群Gの各要素に対して行列を対応させるρを群の表現といいます。
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または、
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で、
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を群表現といいます。当然かも知れないけど、
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という事になる。

で、この同伴ファイバーだけどこれは全くイメージ出来ない。


で、まず同値関係と商集合だけど、
同値関係と商集合という概念は「値が=(等しい)」という関係を使い慣れてしまうと抽象的な理解が苦しくなってきます。特にF/Gという集合の割り算。どういう解釈なのか?。同値関係(equivalence relation)とは、「同じ」であるという関係を一般化した概念で例えば図形の合同がある。一般にはある関係「~」で
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となる場合を言います。「値が=(等しい)」という概念を抽象化して「同一視」という言葉を明確に定義したものといえます。少し例を挙げてみると
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この集合に3で割った余りが同じ時に同一視したいとします。そうするとこの意味で同値とすれば、
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等になります。どうも記号が良くない気がします(嘆いてもしょうがないけど)。念のため言っておくと~は「・・・から・・・」の「から」では無いです。この同一視の意味で集合Fは
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と分類されます。[2]などは2を代表元とする2と同一視できる同値類と呼びます。3で割った余りが同じ時に同一視できる世界では[0],[1],[2]しかない訳です。つまり、そういったフィルター越しの世界ではFという集合は
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となってこの F' を商集合と呼んで、つまり同値関係のフィルターfがあるとき(今の場合3で割った余り)の場合、
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と書かれます。それで、フィルター越しと承知であれば、
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と書いても混乱は起きないでしょう。そして集合Gに関するフィルターfが在るときに
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と書いたわけです。※フィルターという言葉は通常使いません(念のため)。

今日は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p34の途中で少し脱線。